ユータナジー
サン
三枝さんはすぐに来なくなった。
私達はそれに触れることなく、秋が冬に変わるのを感じた。
紅く染まっていた椛(モミジ)はすぐに落ちる。
空は、曇ることが多くなる。
「受験、いつですか?」
そういう事を聞く時期が来たんだな…と感じる。
「再来週。」
「早っ。」
「普通だと思う。」
「それまでに、御守り買ってこないと。安産祈願の。」
「はぁ?」
「今のはボケです。」
馬鹿、と言われる前に言った。
フッと笑われて、あと卒業まで何日か考えてしまう。