ユータナジー
カップの中の紅茶はぬるくなっている。
「というのはボケで。合格祈願はなかったので、一応健康祈願を買ってきました。」
はい、とカバンから出された御守り。
驚きながら受け取れば、本当に健康祈願。
「ボケに見えない。」
「突っ込んでくれないからですよ?」
クスクスと長めの睫を伏せながら笑う。
「なぁ?」
俺は聞いた。
「お前は進学先どこにすんの?」
あまりしない未来の話。
普段は、彼女が好きじゃないらしく、将来の話はしない。
デートの約束なんてしたことない。