ユータナジー
考える先輩に、私はわざとらしく笑った。
─悩んで欲しいわけじゃない。
「本気で考えないで下さいよ?私の頭じゃ、今から頑張っても先輩の行きたい大学は無理です。」
私は努力しない。
しても無駄。
『これから』があと何日かで消える私にとって。
バス停まで並んで歩く。
私は先輩と並んで歩くのが好き。
「雪、降りませんね?」
「傘さすの面倒だから、降って欲しくない。」
「傘なんて邪道ですよ!」
そんなふざけた会話が出来るのが楽しい。
どんっと先輩の肩に、すれ違う男の人が当たった。