ユータナジー

考える先輩に、私はわざとらしく笑った。

─悩んで欲しいわけじゃない。

「本気で考えないで下さいよ?私の頭じゃ、今から頑張っても先輩の行きたい大学は無理です。」

私は努力しない。

しても無駄。

『これから』があと何日かで消える私にとって。




バス停まで並んで歩く。

私は先輩と並んで歩くのが好き。

「雪、降りませんね?」

「傘さすの面倒だから、降って欲しくない。」

「傘なんて邪道ですよ!」

そんなふざけた会話が出来るのが楽しい。



どんっと先輩の肩に、すれ違う男の人が当たった。



< 26 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop