ユータナジー
「帰りましょう。」
「あぁ。」
男の人も苛々していただけなのか、喧嘩をしない先輩を見て人混みに消えた。
「…先輩、喧嘩しなくなりましたよね。」
無意識に口に出る。
「まぁ…な。」
「良い事だと思いませんか?」
「どういう意味だ?」
「喧嘩をしないこと、です。エネルギーの無駄使いですよ?そんなエネルギーがあるなら、笑う事とか嬉しい事に使った方が良いです。」
ね?と微笑みかける。
「…確かに。」
先輩は静かに微笑み返した。
朗報だった。