ユータナジー
デートの日は、卒業式に決まった。
彼女の笑顔は本物だった。
「三枝さん、お久しぶりです。」
俺のクラスに来たのは、担任に用があるから。
「あ、小野塚さん。ほら高梨くん、彼女がいる。」
「知ってる。」
三枝がからかうように言う。
「久しぶり!」
逆に何倍もの笑顔で返されて、彼女は驚いていた。
「元気そうですね。」
その言葉は俺に向く。
「相変わらずみたいだ。」
「何よりですけど。」
クスクスと笑いが零れている。
三年の教室に二年の彼女はかなり浮いている。