ユータナジー
前の俺みたいに注目というか…視線が集まっている。
「小野塚ー、早く戻れよー。」
本来、他クラスに入るのは禁止されてるけど、担任はそう言っただけで教室を出て行く。
「はーい。」
彼女は返事を返す。
『…本当に彼女なんだ』
『単に彼女ヅラしてるだけじゃない?』
『アレってリスカの痕?』
一瞬、空耳かと思うほど小さな声が俺の耳に届いた。
それよりも先に、彼女は気付いていたみたいだったけど。
しかも、その声の持ち主までわかったらしい。
何か言う事もなく…ただ黙って見ていた。