ユータナジー

彼女は人一倍繊細だ。

自分を傷つけた痕を隠さないのも、虚栄を張っているだけ。

暴力や身体を傷つけることではなく、言葉や態度に傷つく。

「琥珀。」

名前を呼ぶ。

綺麗な名前。

神様の涙、琥珀。

「…はい?」

普段、名前で呼ばないからか彼女は相当驚いた顔をしている。

「帰るぞ。」

「はい。」

素直に返事をした彼女は三枝に「さよなら。」と言って、俺と教室を出た。



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