ユータナジー
「高梨の彼女、落ち着いてるよな。」
前の席の男がそう言った。
真面目で爽やかな部活青年の寺島(テラシマ)。
寺島は部活青年だが意外なことに、一匹狼。
だからか、俺と気が合うような気もする。
「…なんだ急に。」
俺が驚いたのは、急に言われたからではなく。
寺島が彼女を人として見ていたこと。
「この前、教室に来てた時、中谷(ナカタニ)あたりがごちゃごちゃ言ってたけど、動じてなかった。」
「…まぁ、確かに。」
「自殺繰り返してるって聞かなくなったし…でもマジで手首の傷は酷いな。」