ユータナジー
体操服を着て竹刀を一振りする三枝さん。
「…一本だけね?」
「もちろんですよ。」
そう何度も身を危険に晒したくない。
「ほら!審判!」
三枝さんが言うと、一年の後輩みたいな男子がこっちに駆け寄る。
「三枝先輩、その人…。」
「ゲストなの。分かったらさっさとやる!」
「防具着ないと危ないですよ!?」
「その時は……私が責任を負うから。」
あまりにも始めようとしない後輩に痺れが切れたのか、三枝さんは構えをとる。
今にもかかってきそうな、野良の眼。
「お願いします。」
…やはり、嫌いなタイプだと確信した。