ユータナジー
別に言葉なんて必要ない。
私はただ、この思いを行動に移すだけ。
相手の空いた手元。
すぐに隙をつく。
体が重くて、テクニックなんて関係なく力任せに竹刀を振る。
弾かれる音と共に、竹刀が宙を舞った。
「小野塚先輩、一本。」
さっきの審判が、自信をもって言う。
悪くない声だと思った。
「ま…負けたー!」
私よりも先に崩れ落ちたのは三枝さん。
「大丈夫ですか?」
「悔しい!現役なのに。もう立てないのに。なんで琥珀ちゃんはそんな心配そうな顔して!」
逆ギレ?
嘆き?