ユータナジー
低い声が響く。
私は入り口の方を向くと、先輩の姿。
「あ、先輩。勝ちましたよ!」
「分かった、見てた。ブレザーを着ないと風邪ひくぞ。」
私は竹刀を審判に返して、脱いだブレザーに袖を通す。
そして先輩の隣にならんだ。
「琥珀ちゃん、バイバイ。」
「…さようなら。」
私は三枝さんに笑顔で手を振った。
ゴミを捨てに行った彼女が戻って来ない。
誰かに絡まれているのか、校舎を迷っているのか。
どちらの可能性も高く、俺は校舎裏に行った。
けれどそこには彼女の姿はなくて。
「え…あの三枝先輩と?」