ユータナジー
もしかして変な男に絡まれているんじゃ…と考えた矢先、耳に入る会話。
横を通り抜ける一年の女子達。
「死に神って呼ばれてる小野塚先輩が?」
「剣道勝負やってるんだって!高梨先輩の取り合いかな!?」
…はぁ?
思わず声に出してしまうのを止めて、俺は素知らぬ顔ですれ違う。
「三枝先輩、剣道強いよね?小野塚先輩負けちゃうんじゃない?」
その言葉を聞いてから、俺は剣道場に向かった。
取り合い…なんてするはずないだろ。
そう思いながらも、少し心配する。
あの馬鹿な二人だと何するか考えられたもんじゃない。