ユータナジー

彼女が制服で着ているスカートとワンピース、何が違うんだか。


「何、お前マジで“死に神”と付き合ってんの?」

聞き慣れない声が後ろからかかる。

クラスメート。
けれど、名前が分からない。

髪の色を抜いた男は、どこか馬鹿にしたように“死に神”と言った。

…死に神?

少し驚く。
彼女をまだその名前で呼ぶ奴がいたのかと。

「琥珀ちゃんを“死に神”って呼ぶなんて、さいてー。」

低い声が三枝から聞こえる。

「三枝。」

それを窘(タシナ)めるように寺島が呼ぶ。


「だから?」

俺は答えた。



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