ユータナジー

今更、“死に神”と彼女が呼ばれていることにとやかく言うつもりはない。

「付き合ってるっつーかただの遊びだろ?」

「は?」

「そんなにイイのかよ?」

「…あ?」

低い声が出た。

苛ついている。

体全身の血が、沸々と湧き上がっている気がした。

「やめろよ、加藤(カトウ)。」

寺島が次はこいつを窘めた。

部活エースは争い事を嫌うらしい。

「…ブレーキを侮辱されたアクセルは怖いぞ。」

そんな呟きも聞こえた気がした。








「きみ、高梨の彼女?」

先輩が来ないので教室を少し出れば、知らない先輩に腕を掴まれた。



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