ユータナジー
シチ
卒業式の日は晴れていた。
それはもう、泣きたくなるような青空で。
見上げれば、涙が少し出てきた。
バス停に立つ学ランの先輩を見るのも、これが最後。
私は遠目からその姿を目に焼き付けておく。
「…大丈夫か?」
近づいた先輩は「おはよう」よりも先に、私の目の前で手を振る。
「大丈夫です。起きてますよ。」
「目開けながら寝てんのかと思った。」
「それで歩いてるってある意味すごくないですか?」
話の観点がずれていく。
結局、最後には。
「先輩、おはようございます。」
「ん、おはよう。」
でおさまった。