ユータナジー

溜め息を吐いて、三分の一を渡す。

それに満足した彼女は、歩き出した。

「そういえば…どこに行くか決まってんのか?」

「え?……あぁ!全く考えてもなかったです。」

「それはわざとか?それとも本気で忘れてたのか?」

その言葉を無視してバス停に向かう姿を見る限り、忘れていたらしい。

彼女は花束を見ながら、呟く。

「なんか…持ってあげようとは思ってましたけど、少し嫉妬します。」

「何が。」

「先輩には、一番に私が卒業おめでとうって言いたかったのに。」

顔を逸らす彼女。

泣く子も黙る。
いや、アバタもエクボ?



< 63 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop