ユータナジー
「先輩の部屋って殺風景ですよね。」
「…そうか?」
きょとんとする先輩は、ベッドにもたれかかる。
あんまり物がない先輩の部屋には、ベッドと勉強机と本棚だけ。
私は勉強机の前にある回転椅子に座る。
「私の部屋には負けますけど。」
漫画本と少しの教科書類が詰まっている本棚。
「お前の部屋?」
「私の部屋はソファーのみです。」
「なんだソレ。」
「座るか寝るか、どっちかしかできないんですけどね。」
呆れた笑いが聞こえる。
「琥珀。」
愛おしい声が私を呼ぶ。