ユータナジー
ハチ






彼女の家の事はあまり知らない。

第一、俺はほとんど彼女の周りの事を知らない気がする。

初めて家に彼女を連れてきた後、母親は嬉しそうな顔をした。

「だって喧嘩ばかりしてたあなたが、可愛い女の子を連れてくるなんて!」

手首の傷は見えなかったのかもしれない。

…けど、そんなことはなかった。




「上手ね、琥珀ちゃん。」

「得意料理はお粥です!」

…お粥って、得意なものの内に入れていいのか?

夕飯の手伝いをする彼女の袖は、ここから見ても分かるくらい捲られている。



< 72 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop