ユータナジー
気づいていて、言わないだけなのか母親は言った。
「大切にしなさい。誰かが自分を信じてくれるのは簡単じゃないの。」
知ってる。
分かってるよ。
気が短い俺は、前からすぐに手が出て。
悪目立ちばかりして、顔がいいからっていろんな奴に告白されたけど。
…自分の何が良いのか、自分で分からない。
「好きです。」
「…は?」
「先輩に人生をかけても良いって思うくらい、好きです。」
始めて会った訳じゃない彼女。
何度かその笑顔も目も見た事がある。
「俺に人生かけるって…。」