ユータナジー

気持ち悪いとは思わない。

ただ不思議な子だと思った。

噂からすれば、周りに友達がいなくて一人なのに何故俺に告白してきたのか。

「はい。」

「本気?」

「嘘だと思うんなら、死んでみてください。後追いかけて死にます。」

物騒な子だと思う。

今じゃ普通になったけど最初に聞いた時は、苦笑いが出てしまうくらいだった。

「分かった。いいよ、付き合う。」

もっと知りたいと思った。

彼女のことを。



「琥珀ちゃん、自分で手首切っちゃったの?」

普段通りの声で、「あ、そっちの野菜も取ってね。」と母親が付け足す。



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