ユータナジー
何が羨ましい?
俺は聞かないし、聞けない。
でも…
「俺はお前が羨ましい。」
「…はい?」
眉を顰める彼女。
俺は微笑みながら、腕の力を緩める。
そしたら、彼女がしがみついてきた。
「なんだ?」
「“もうちょっと”。」
胴体にしがみつく彼女の髪を撫でた。
琥珀色に透き通る髪。
「なー。」
「はーい?」
「愛してる。」
途端に彼女は顔を上げた。
嬉しいんだか、泣きたいんだか、悲しいんだか、驚いてるんだか。
そんな表情に肩を竦めて笑った。
「そんなサラリと。」