ユータナジー
「なんか、急に言いたくなった。」
「先輩、熱があるんだと思います。」
「病人扱いすんな。」
彼女の耳を引っ張る。
「ご飯の準備出来たわよー。」
母親の声が同時に聞こえて、俺は手を離した。
彼女は上手くそれをすり抜けて、スタスタと夕飯へ歩く。
色気より食い気か。
らしいっちゃらしいけどな。
「ごちそうさまでした!」
来た時同様、ぺこりとお辞儀をする。
「また来てね。」
ママさんの優しい声が聞こえて、外に出る。
先輩は隣を歩いていて、送ってくれるみたい。