ユータナジー
その日、廊下ですれ違い様に肩がぶつかり、妙な因縁をつけてくる三年と喧嘩した。
睨みつけられ、去っていく三年を見て俺はため息を吐く。
人と関わるのは得意じゃない。
「…先輩。」
階段を駆け上がろうとするその先に。
彼女はいた。
“自殺を繰り返す死に神”はいた。
琥珀がいた。
今まで遠目でしか見たことがなかった彼女の顔はいたって普通。
あの噂が無ければ、きっとクラス内でみんなと溶け合って…共存していく運命なんじゃないか?
「何。」
「好きです。」
「別に気持ち悪いとか思わない。」