ユータナジー
先輩は私の腕を掴んだ。
「…なんですか?」
「納得いかない。」
「出会ったのが“運命”なら、別れるのも“運命”のうちです。」
「…俺に人生賭けるんじゃないのか?」
…ズルい。
そんな、私が告白した時の言葉を覚えているだなんて。
私は掴まれた腕を見た。
「…私の生きる理由は、ただ死ぬ為だけにあるんです。死ぬ前に一度、先輩に告白して付き合いたいと思っただけです。」
「そのサイゴに俺が選ばれたんだろ?」
「選ばれたって…。」
「選ばれた“運命”だから、喜んで受け入れてやるよ。」