ユータナジー
体が勝手に動く。
携帯に手がいって、彼女に電話している。
『ただいま留守に────。』
嫌な汗が頬を伝った気がした。
俺はコンビニの方へ走り出した。
コンビニの目の前の道路には、少しの野次馬。
──止めてくれ。
何に思ったのかは不明。
彼女の最悪の事態を考える自分の思考か、運命を左右する力を持つ神にか。
「しっかりしてください!大丈夫ですか!?」
そんな見知らぬ女の声が聞こえる。
─彼女でないで欲しい。
自動車と人の交通事故らしい。
「大丈夫ですか!?」
医者のように横たわる人の胸に耳を傾けている女。