ユータナジー
一番衝撃が強かったのは頭で。
顔をしかめるにも、まったく顔が動かない。
視界が…霞んでいく。
コンビニか車のライトが目に差し込む。
視界の端に汚れた空が映った───。
「琥珀?」
確かに彼女だった。
「琥珀…琥珀?」
馬鹿みたいに名前を呼ぶ事しかできない。
彼女は生きているのか、死んでいるのか。
「…い。」
眉をひそめて、苦しそうに彼女は何か呻く。
「琥珀?」
「…よ、しせん、ぱ…」
俺の名前を呼んでいたみたいだった。
「こっちも?大丈夫?もうすぐで救急車、来るから。」