ユータナジー
さっきの医者のような女はそう言って、彼女の脈をとり難しそうな顔をした。
─やめてくれ。
今度はちゃんと死に神に言った。
今まで彼女を突き放してきたのなら、今度もちゃんと突き放してくれ。
「…肩を押さえていてあげて。」
女は俺等の関係が分かったのか、俺の手を出血し続ける彼女の肩に乗せてもう一人の方へ行く。
もう何も言わない彼女に俺は力を込めた。
涙は出ない。
まだ、彼女は生きているのだから。