ユータナジー
ジュウ




誰かに引っ張られた気がする。

腕を掴むわけでも、肩を抱き寄せられるわけでもなく、ただ引っ張られるように。

闇の奥へいく。

私は死んだんだろうか。

一番、望んでいた死を望まなくなったから、こんな結果を招いたんだろうか。



誰かに道を聞かれた気がする。

『未来はどちらにあるのか』と。

私はただ首を振る事しか出来なかった。

闇の奥に何が待つのかすらも予想できないから。







『安楽死したい』


誰かはそう言った。


『静かに楽に…死にたい』


私は確かにそう言った。




< 95 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop