ユータナジー
相手は、寺島。
同じ大学に行ったものの学部が違うからめったに会わなくなった。
「もしもし?久しぶりだな、寺し…」
『おい、高梨の彼女、目覚めたぞ!』
……え?
挨拶を遮る寺島の声。
『ちょうど三枝と知り合いの見舞いに病院に行ってて、三枝がお前の彼女のとこに寄ってくって行ってみれば…。』
「琥珀が?」
『あぁ。意識も安定してるって。』
「すぐ、行く。」
俺はバスに飛び乗る。
病室の外には、寺島がいた。
「久しぶり。」
「あ、あぁ久しぶり。」
さっきは先に言っていた台詞に余裕がない。