ユータナジー
久々の再会は後回しにして、俺はドアに手をかける。
「あ、高梨くん。」
ちょうど、そこから三枝が出てきた。
「久しぶり、三枝。話は後に…。」
「ちょっと、待って。」
俺は病室に入った。
一昨日は瞳を閉じて、静かに寝ていた彼女が起きて窓の外を見ている。
彼女の座るベッドに近づいて、前に立った。
彼女はゆっくりと俺に視線を向ける。
窓から差し込む光のせいか、体や顔が全体的に白く細くなった気がする。
「…琥珀。」
瞬きをする彼女。
俺は微笑んだ。
「…あの、私の知り合いの方ですか?」
彼女は警戒するように言った。