bitter sweet
「瀬戸さん、関西のT市ってどんな所?」
「この制服、可愛いよね? 前の学校ってどんなだったの?」
「前の学校ってカッコいい男の子いた?」

 ……次から次へと質問を受け、一体どれから答えればいいのかわからない。

「ねえ、関西の人ってみんな面白いってホント?」

 若干テレビの影響をそのまま真に受けている子もいる。

「……みんながみんな面白いんとちゃうよ」

「うわッ! ほんとに関西弁だ、もっと何か喋ってみてよ!」

 なんかって言われても……。

「何を喋ればええのん?」

「“ええのん”って関西弁? なんかすご~い!」

 すごいって言われても、私フツーに喋ってるだけなのに。まあ、悪気はないんだろうけど……なんか馬鹿にされてるみたい。







 ……みんな最初のうちは、単純に関西弁に対する“物珍しさ”があったんだと思う。

 だけど一週間後、私の制服がセーラー服からブレザーに替わった頃、状況が少し変わり始めた――。



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