bitter sweet
 最初は些細な事だった。

 国語の授業中、先生に本読みを当てられ、音読していた時だった。

 ……周りからくすくす笑う声が聞こえる。

「こら。そこ何笑ってるの!?」

 先生がその生徒を叱った。

「だって、先生~。瀬戸さん訛りながら読むんだもん。面白くってぇ~」

 その言葉をきっかけに、クラス中がざわめき出す。

「静かにしなさい! 瀬戸さんは関西出身なんだから訛ってて当然です」

「だけど関西訛り聞いてると、お笑い観てるみたいで集中出来ねえよなぁ」

 一向に静まろうとしない生徒達に、先生は教卓に教科書を叩き付け、一喝した。

「集中出来ないのを人のせいにしない!! そんなに集中出来ないのなら集中出来る様に、簡単な漢字テストをしてもらいます!!」

 クラス中からブーイングが飛ぶ。

 なんとなく、自分が悪い事をしたような気分になって少し肩身が狭い……。







 キーンコーンカーンコーン

 授業終了の合図が鳴り、先生が教室から出て行く。



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