bitter sweet
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「……それでゆきな、その条件受け入れたの?」

 唯の質問にこくん、と頷く。

「――……許せないッ!!」

 両手を握り拳にしてテーブルをドンッと唯が叩いた拍子に、グラスの水が波立った。

「ゆきな! 今からそいつらン所行こう! 一言ガツンと言ってやる!!」
「ちょ……ちょちょっ! ゆ、唯ッ落ち着いて!」

 息巻き、カバンを手に席を立とうとする唯をなだめる。

「だって悔しいじゃん! なんで生まれ育った土地の言葉使っちゃいけないのよッ!?」

「もう過ぎた事やし、今は普通に喋れてるんやからエエんやって」

 そういえば、と唯が私に向き直す。

「ゆきなってあたしと初会いした時、関西弁だったよね?」

「う……ん、そうやったっけ?」

「絶対そう! だってあたし、自分の出身の言葉を喋ってるゆきなが羨ましかったもん! 正々堂々としててカッコ良くて……でもなんで?」

「なんでって?」

「だって“喋るな”って言われたんでしょ。また関西弁使う事で中学と同じ様に言われるって気持ちなかったの?」

 唯の問いに私は首を横に振った。

「……ホンマの事ゆうとね、あったよ。けど、ある人がね、私を変えてくれたんよ」




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