bitter sweet
  ∞ 和紗 side ∞

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「……まったく、お前は何回私の顔に泥を塗る気なんや?」

 親父の書斎――この部屋は俺にとって一番居心地の悪い場所。

「そんなんゆうたかて、悪いんはあいつらやねんもん」

「相手は“お前が先に手ェ出して来た”と言っとったぞ」

「しゃーけど、先にぶつかってきたん向こうやぞ!? “謝れ”ゆうたのにシカトしたからッ」

「言い訳は聞かんッ!!」

 ドンッ、と机を叩く音にビビった俺は一瞬固まった。

「もう、これ以上お前の面倒事にこの家を巻き込むな」

 親父が一枚の紙切れを俺に差し出した。

「……親父、コレなんやねん?」

「そこに私の弟が住んでいる。ちゃんと事情は話してある」

 ……つまり、“この家から出て行け”と。

「俺がおったら色々困るからか? ハッ! 有名進学校の学年主任の息子が問題児です、なんて恥ずかしいんやろ!?」

「…………そうだ」

「……ッ!! 言われんだって出てったるわ、こんな窮屈な家ッ!!」


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