bitter sweet
 午後8時。長い時間電車に揺られてたせいで腰がめっちゃ痛い。

「っと、叔父さんちの住所は……ってどう行ったらエエねん」

 住所の下には携帯番号が書いてある。
 親父に弟がいてるのは知ってた……けど、はっきしゆうて会った記憶はあんましない。親父以上に頑固で偏屈な人やったらどうしよう……。

「考えたってしゃーないか」

 ……ここまで来てしもた以上、腹括(くく)らなあかん。

 俺は駅構内の案内板で公衆電話を探し、叔父さんに連絡を取った。







 呼び出し音が5回ほど続いた後、

『はい、もしもし』

 と、想像してたよりも若い声の響きに驚いた。

「あ……もっ、もしもし。和紗ですが、あの今着いたんですけど道わかれへんくて……」

『ああ! 和紗くん? 今どこにいるんだい?』

「えと……S駅の中央口です」

『わかった。迎えに行くから待ってなさい』

 プツッ、と電話を切られる。

 ……待ってろって、俺叔父さんの顔知らへんねんけどッ!?

 まあそれでも、下手に動くよりは素直に待ってた方が良さそうな気がする。



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