bitter sweet
「さて、そろそろ休まないと、明日に響くよ」

 気付けば、時計の針はすでに23時近くを指していた。

「明日、なんかあるんすか?」

 マコトさんは一瞬きょとんとした顔をした。

「君がこれから通う学校に挨拶に行くんだよ。もちろん、君も一緒にね」

「げ。学校……っすか」

 あからさまに嫌な顔をした俺に、学校もそんなに悪いもんじゃないよ、とマコトさんは言う。

 俺の中で、《学校=親父》ってイメージがあるからやろうか。

 ――規則規則でがんじがらめにする。学校なんか俺は大っ嫌いやった。







「じゃあ、この部屋使って。湯冷めしない様にね」

「どうも」

 カーテンから枕、ベッドカバーに至るまで、俺の好きな青系に統一された部屋――。

「これ全部、揃えてくれはったんや」

 イラストレーターってそんなに儲かる仕事やないよな……。

 優しくされるのに慣れてないからか、めっちゃこそばゆい(※くすぐったいの意)。

「あ~……、つっかれたあ~!!」

 ぼすっ、とベッドに勢いよくダイブ。

「あ……そうや、健ちゃんに電話……他の奴らに……も」

 自分で思う以上に疲れとった俺は、そのまま眠りに落ちていった。



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