bitter sweet
 慌てた様子で迎えに来た男の人に駆け寄る男の子。

「あッ! お前さっき言うた事忘れんなよ!? “ゆきかず”!」

「“ゆきな”や、ゆうてるやん!!」

「そんかわり、お前がここでサボってんのチクらんといたるから~!」

 最後の言葉を言い切る前に、男の子は階段を駆け降りて行った。

「何やのんなアイツ……ッ!!」







 和紗の第一印象はとにかく最悪だった。口は悪くてガキっぽいし、何よりあほだし。

 同じクラスじゃなければいい――そんな願いも空しく、翌日のHRに担任と一緒に現れた和紗。

 この時はまだ、私にとって和紗が誰よりもかけがえのない存在になるなんて、ひとかけらだって思いもしなかった……。




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