bitter sweet
「うわ……。なんやねんこの坂」

 100mはありそうな坂道。ここを上らないと学校へは行けないらしい。

 それやのに、「競争しようか」というマコトさんの提案により坂道を一気に駆け上がるハメになってしまった。







「……すッ……るんちゃうか……った……ッ!」

 スーツを着ているにも関わらず、軽快に走って行くマコトさんに対して俺は坂の半分を上がった所で早くも後悔した。

「おーい。頑張れ~」

「マ……コトさんって……何モンやねん……ッ」

 ようやく平坦な道に変わり、学校の校門の塀に手を付き息を整える。

「大丈夫かい? 最近の子は基礎体力落ちてるって本当なんだねぇ」

「マコ……トさんがッ……元、気過ぎやねんッ!」

 肩で息をしていると、斜め上の方で何か光った。

 ……なんや?飛行機か?いや、それよりは低い――ちょうど校舎の屋上くらいの位置。誰かいてる……?

「マコトさん、今って何時?」

 時計を持ってない俺はマコトさんに訊いた。

「今? ……9時になったとこだね」

 バリバリ授業中、ゆうことはサボりか……?



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