bitter sweet
「え! 合コンの相手って唯のバイト先の人なん?」

 唯は駅前近くのCDショップ《ポーラスター》でバイトしている。

「そっ、あいつも関西出身だから話も合うと思うし……もちろん良い奴なのはあたしが保証するわよ。だから、合コンって言うよりも……お、お見合い?」

 にこっ、と笑う唯とは対照的に私はますます不安を覚える。

「……やっぱ帰ろっかなー……」

「いやーん! 冗談だってばぁ! あ、ほらケーキと飲み物来たよッ!?」

 運ばれて来たキャラメル・ラテのほわっとした甘い香りが鼻腔(びこう)をくすぐる。

「ゆきなって甘いもの好きだよねぇ。昔から好きだったの?」

「うん。でも関西からこの街に引っ越してから余計に好きになったんかも」

 美味しいショコラケーキを口に運ぶ度、私の機嫌はすっかり直ってしまった。

「中学の頃に来たんだよね? 転校生ってモテたんじゃないの~?」

「全然ッ! 逆に苛められてたし……」



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