bitter sweet
「やッ……和紗、痛い……ッ」

 ……知らんかった。雪和ってこんなちっさかったんや。俺の腕にすっぽり入ってまうくらい。

 雪和を抱く腕を少し緩めて、顔を少しずつ近付ける。俺の突然の行動に戸惑う雪和の唇に触れそうな時――







「ただいま」

 玄関のドアが開いた音とともに足音。マコトさんが帰ってきた。

「お、お帰りなさいッ、おじゃましてます」

「あれ、ゆきなちゃん来てたんだ。和紗くんは……何で寝てるんだい?」

 マコトさんの声が聞こえたと同時に、俺の視界が雪和から天井に変わった。つまり、雪和に突き飛ばされた訳やけど……ちゅーか!!もうちょっとでキス出来るとこやったのに……ッ!!

 起き上がりリビングに向かうと、雪和がマコトさんにさっきの計画を話していた。めっちゃエエ雰囲気で、入っていかれへん。

「そういう事なら喜んで協力するよ。さて、ゆきなちゃん、そろそろ帰らないとね」

「え~ッ!? だってまだ18時過ぎですよ?」

「だめだよ、冬は暗くなるのが早いんだから。それにご両親だって心配してるよ」

「……心配なんかしーひんもん」



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