bitter sweet
 違う……違う違う違うッ!!

 否定したいのに、悔しさで涙が溢れて声にならない……。

「お母さん、今日ほど恥ずかしい思いしたことなかったわッ! 雪和なら大丈夫やって信じてたのに、こんな形で裏切られるやなんてッ!」

 ――信じてた?私を?こぼれ落ちそうになる涙を必死に堪え、目の前にいるお母さんをキッ、と見据える。

「なんやの、その目? 親に恥かかせてその態度はなんやのッ!?」

「ほんなら聞くけどッ」

 後から溢れ出てくる涙を止める事が出来ない。

「ほんなら聞くけどッ! お母さん、私が学校で苛められてたん……ッ気付いてた?」

「……え?」

「喋る言葉がちゃうから……って、もう喋らんといてって……言われてッ! そやのに……そやのに家帰ったってお母さん……もお父さんもおれへんくてッ、私がどんだけ寂しい思いしてきたか知ってんのッ!?」

 ずっと、ずっと寂しかった。毎日真っ暗な家に帰って、一人でご飯食べて……。私の顔見る度、よその家庭の話ばっかりで私の話なんか聞こうともしなかったくせに……ッ。




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