bitter sweet
Ⅴ.bitter sweet
 ∞ 雪和 side ∞

 ねぇ和紗。私すごく幸せだよ。

 大好きな人に大好きって言ってもらえて。

 プレゼント嬉しかった。不意打ちでキスしちゃってびっくりさせちゃったね。

 ずっとずっと一緒にいられる、って思ってた。これからもずっと和紗が、私の一番近くにいてくれるんだ、って思ってた――……。







「……帰る……って関西に?」

 和紗の口から出た言葉の意味がわからない。

「雪和、そやからお前も逃げんと向き合わなアカンねん」

 ……だって、だってそれって……和紗がいなくなる……って事?ずっと一緒にいてくれないって事――!?

「……んなの、やだ……イヤや……ぁッ」

「……雪和」

 堪え切れず、また涙が零れ落ちる。駄々をこねる子供みたいな私に、和紗も困ってる。

「俺らはまだ全然子供なんや。なんの力も持ってない、ただの中学生なんや。このまま逃げてたって誰も助けてなんかくれへんねん」

 頭ではわかってる。和紗は間違ってない。わかるけど……ッ!

「なぁ、雪和。あの約束覚えてるか? 俺のギター初めて聞かせた時に、曲作ってみ言っとったやろ」

 覚えてる……和紗とずっと一緒にいたいから、20歳の誕生日にも私の隣りには和紗がいて欲しい。そう願って曲を作ってって言ったんだから。



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