bitter sweet
 声にならず、ただうんうん、と頷くとぎゅ……と和紗に抱き締められた。

「ずっと会われへんくなるわけとちゃう。5年後、俺らが20歳になる日、お前に曲プレゼントしたる。……それまでの我慢や」

「5年も……待つのん? そんなに長い間……会われへんのん?」

「アホやな、5年なんてすぐ過ぎるて! あ……浮気すんなよ?」

 ……するわけない。和紗以外なんてあり得ないよ。

「和紗かて、浮気したら許さへんからね……ッ」

「そやなぁ。5年経ってもお前がヘタレやったら……他の女でも見つけよっかな~」

「そんなんアカン!」

「イヤやったら、5年後の俺がまた雪和に惚れるくらい、エエ女になっとけッ」

 いたずらっ子みたいにへへっ、て笑う和紗。

「5年後……絶対会えるんよね? 約束破らへんよね?」

 ぎゅっ、と和紗の背中に手を回す。

「絶対会える。約束や。俺が信じられへんのか?」

 和紗がまっすぐに私の目を見ている。

「信じる……信じるよ、かず……ッ」

 ……二度目のキス。今度は和紗から。私がした不意打ちと違って……優しくて暖かい、切ないキスだった――……。



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