bitter sweet
 ∞ 和紗 side ∞

 公園を離れ、雪和を家まで送る間、俺らはずっと手を繋いどった。

 繋いだ手から伝わる雪和の緊張。俺はそんな雪和の気を紛らそうとアホな事ばっかり、喋っとった。

 雪和ン家に着いた時、おばさんは泣きながら雪和を抱き締めてた。お互いに謝りながら、雪和まで泣いとった。

 そうや……俺もマコトさんに何も言わんと出て来たんやった。
 ――雪和、またな――。俺はそのまま、マコトさんの待つマンションに向かう――……。







「……紗くん! ……和紗くん!」

 マンションまであと数mという所で、必死に俺の名前を呼ぶマコトさんがいた。

「マコト……さん」

 俺に気付いたマコトさんがダッシュでこっちにやって来る。

「あ……の、マコトさ……」

 パシッ!という音と同時に俺はマコトさんに抱き締められる。

「心配するだろッ! 急にいなくなるなッ!!」

 マコトさんが声を荒げるのを初めて聞いた。……汗びっしょりで、髪の毛も乱れまくって肩で息して……ずっと、俺を探してたんや……。

「ごめ……マコトさん」

「……ッ君まで、君までいなくなったら……ッ!! もう勝手にいなくならないでくれ……和紗ッ!!」





< 79 / 89 >

この作品をシェア

pagetop