bitter sweet
 マコトさんの問い掛けに「うん」と頷いた。

「そ、か。寂しくなるね……」

 コーヒーを飲みながら、マコトさんが呟く。

「ほんでな、マコトさんにお願いやねんけど……俺、高校卒業したら、またマコトさんと一緒に暮らしたいねん」

「……え?」

「アカン……かな?」

「そりゃ、僕は構わないけど、兄貴が何て言うかな……」

「俺が説得するッ! 親父が“どうするかお前が決めろ”ゆうたんやからッ、反対なんかさせたらへん!」

 鼻息荒くマコトさんにそう宣言すると、不安そうな顔しとったマコトさんが、俺の頭をくしゃくしゃっと撫でた。







 俺には親父が2人もいてる。そんで、俺はどっちも好きやしどっちか片方選ぶなんて出来んかった。

 ……つーか選ぶ必要あるんか?どっちも俺の親父や!それでエエやんけッ……でも、マコトさんは“親父”ってイメージちゃうな……。

 翌日、俺は電車に揺られて親父とお袋の待つ家に戻ってきた。

 お袋は泣いてるし、親父は動揺しまくってて、ある意味面白い光景やった。




< 81 / 89 >

この作品をシェア

pagetop