bitter sweet
 ∞ 雪和 side ∞


 12月24日――。私は、唯から教えられた場所の近くにいる。

 『KAZUSA STREET LIVE』と書かれたB5版を半分にしたチラシ。

「……こんな小さかったら、気付け言われても気付けへんやん」

 開演時間は『商店街が閉まり次第』……いつなんよッって絶対突っ込まれてそう。

「……寒いッ」

 アーケードがあるとはいえ、吹き抜ける風は冷たい。とりあえずどこか屋内で時間潰そう……。商店街の中の喫茶店に入り、ホットココアを注文した。

 閉店時間は20時、か。あと2時間――2時間で和紗に会える。チラシと一緒に唯に渡された時からずっとリピートしていたMDを再生させる。







 窓際に座って行き交う人を見る。そうなんだよね……たくさんの人達には今日はクリスマス・イヴなんだよね。

 幸せそうなカップルや家族連れ、プレゼントを抱えて走ってる……お父さん、かな?もしかしたら今日はサンタクロースになる予定なのかも。

「子供の頃は嫌いやったのにな……クリスマス」

 いつもクリスマスと一緒にされてた誕生日。だけど今は――。

 神様でもサンタさんでもいいから……お願いします。和紗に会わせて下さい……。今日じゃなきゃ意味がないの。だから――。


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