bitter sweet
 健ちゃんはいわゆる俺の幼馴染みってヤツで、昔から何をするにも一緒で2人でヤンチャな事ばっかしとった。

「……けど俺、腕掴まれた時、アブない世界連れてかれる! ってマジで焦ったわ~」

「アブない世界って?」

「じ~っ、て俺の顔見てたやん。ロックオンされてもうた、って思ってん」

 ほっと胸を撫で下ろした俺に、健ちゃんはやっと納得したように指を鳴らした。

「ああ! ノーマルってそういう意味やったんか? 似てるなー、思て見てただけなんやけど。それに、オレはちゃんと女が好きやから安心せえ」

 言いながら健ちゃんはチラシに目を通している。

「和紗、ライブやるんか? ギター続けてたんやな」

「ん。イヴにな、そこに書いてる場所周辺で」

 つっても、ストリートやから店が閉まった後の一時間くらいしか出来ひんけど。



< 9 / 89 >

この作品をシェア

pagetop