人の恋を笑うな
まるで古い洋館のようだった…そんなに広くはないが、庭もある


『なんか妖怪でてきそうだな』と茂徳が笑った


『ちょっとやめてよ!気持ち悪いじゃない』


『この広さだとおまえの家具とか入れてもスカスカだぜ?うちのB級品の家具とかもってきてやろうか?』


茂徳は完全におもしろがっていた


ドアを開けると玄関先はなくいきなりロビーのような広いリビング…

1階には2部屋、3階には3部屋があった


階段の手摺りはリフォームしたのか新しいキッチンがやたら広くてびっくりした


畳の部屋がない!フローリングだらけだ…


『さっきから文句ばっかだな、いいじゃないか、アンティークな感じで。これで6万だぜ?社長に感謝するんだな』と早速茂徳は掃除を始めた…


私もしかたなくバスルームのタイルを磨いたり、キッチンを綺麗にしていた


『遅くなってごめんなさい!これお昼ご飯よ。すごく素敵な洋館ね…よかったわね、乙女さん!』


これって…世間的には素敵なんだ…私の感覚がズレてるのかな


ねねさんの持ってきてくれたサンドイッチやパスタを食べてまた私達は掃除を始めた


『乙女さん、庭に桜の木が一本あるわよ。この部屋からお花見できるわね』とねねさんが笑った


ホントだ…そんなに大きくないけど桜の木だ


『前住んでた人ガーデニングが好きだったのかな…いろんな花植えてたみたいよ。温かくなったら庭にテーブル出してのんびりできるし、いいとこだらけよ』


ねねさんはいろんなアイデアをだしてくれた


2階は衣装部屋、寝室、仕事部屋に分けて、1階の庭が見渡せる部屋に畳をひいたらどうかなと言ってくれた


『6畳分の畳でいけると思うわよ。奥の部屋にはテレビ置いて、なんてのはどう』


『畳いいな…』

『私がお祝いにあげるわよ』とねねさんが笑った

『ねねの実家、畳屋なんだ』


『ホントですか!今の私には助かりますぅ〜!』


『じゃあ今週中にひいてもらうように段取りしてくる』


頼もしい!畳屋の娘!
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