人の恋を笑うな
隼人さんのマンションにつくと、私は気付いた…

今日は髪を左右にくくり、ジャージ姿であることに…


しかし時既に遅し


二人は私の姿を見て笑っていた


『ちょっと無理ある女子高生だな』


『ほんまや』


『今日は一生懸命練習したんだからほめてくださいよ!』


『よしよし。早く手洗ってきて』


私は洗面所でゴシゴシ手を洗った


『今日は兄貴と釣りいってきてん。でも坊主や』


『でも魚ちりじゃないですか』


『魚屋で買ったんだよ。まるでサザエさんの世界だ』と社長は私の小鉢に具を入れてくれた


『美味しそうですね、いただきます。…あ、このポン酢美味しいですね』


『やろ?大阪では有名なポン酢やねん!1年中使えるねんで』


『ホントに美味しい。くせになりますね』


『うちもこればかり。叔母が送ってくれるんでね』


『いいですね』


『夏子ちゃんにも送ったんやけどな…』


あいつ!正月水炊きしたとき隠したな!キツイ女だよ!


『実は練習の帰り、お腹空いてカフェでケーキ食べてたんです。久しぶりにやると疲れますね』


『どのくらい練習したんだ?』


『時間にしたら3時間くらいです。あ〜30すぎると体力落ちますね』


『充の奴居なかった?』


『居ました。スタジオ見に来たって』


『なんだかんだ言って、あいつも不安なんだよ。結局はあいつがまとめ役だからな』


『積極的青年君か…』と隼人さんが笑った


【社長がいても惚れてますから】


あんな台詞さらりと言うくせに、今はプレッシャーで押し潰されそうなのかもしれない


『でも乙女の歌聴いてたのは妬けるね』と社長は言った


『俺の前でそんな事言える仲になったんやな』


『まあな』


二人の会話に私は顔を真っ赤にした
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