人の恋を笑うな
『二人がいなくなるとカルピスはもういらなくなるね…』とおばあちゃんが言った


『カルピスはいるわよ。ちゃんと買っといてよ、ラブちゃん』と夏子が言った


『そうよ、私だってたまにはここにくるんだからさ』と私はカルピスをちびちび飲みながら言った

『そうかい?じゃあ買っとくよ。武人さんには何買っておこうかね。日本酒かね?』


『おばあちゃん、僕はなんでも飲めますよ。選んでくれたの楽しく飲みます』


おばあちゃんは緊張した場面を昔から和ませてくれる


私が家出した時も、一番に捜しだしたのはおばあちゃん


なんか私が泣けてくるじゃない…


と同時に夏子も私と一緒に泣き出した!


『泣いたり喧嘩したりあんた達はほんっとうるさいね!!話しが進まないだろ!今日は細かく決めてくわよ、余計な言い合いしないでねっ!』


お母さんと社長が中心になっていろんな事が決まった。衣装合わせは5月にお母さんと夏子が来て式場で考える事にした


『お母さん、助かりました。衣装みるのは当日にしとくよ。楽しみだ』


『社長のもちゃんと見立てるから、あとで合わせにいってね』



夕飯を食べて、私達は実家を後にした


車の中で社長は思い出し笑いをしている


『乙女の家族は楽しいな。俺はあんなにぎやかな環境にいなかったから、すごくうらやましいよ。弟とあんな喧嘩したこともないしな…』


『いつもああして、おばあちゃんがカルピス持ってきたら、仲直りのサインなの』


『いいおばあちゃんだ』


『社長…結構着物に弱いんですね』


『好き。とくに乙女は似合い過ぎだ』


社長のコロンが香る車内で私は少し眠くなってきた


恥ずかしながら私の家まで爆睡してしまった…
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